序
あのさ“馬鹿は休み休み言え”という言い回しがあるじゃねぇか。
あれって、俺は“ふざけた物言いはそうそう頻繁に口にしちゃあいけないぞ”って、
引っ切りなしなんかじゃなくの“休み休み”言いなさいっていう、
そういう意味だと思ってた。
でも、ホントは違うんだってな。
“何事もよくよく考え考えして言わにゃあいけないぞ”って、
そういう意味で使う言い回しで、
たいがいはサ、憎たらしいほど偉そうにしてる奴がよ、
“そんな馬鹿げた御託は聞けないねぇ”と言いたいときに使うんだってな。
憎まれ口には違いないけど、そんでも中身が随分と違ったんで、
ホントの意味を教すわったときゃ、
ありゃまあ ////////って、何だか尻がこそばゆくなったもんだった。
◇◇◇
「日頃あんまり頭を使わない人間が、
珍しく考えごとをするとロクなことにならないって言うだろ?
でもサ、
『お前はいっつも考えなしなんだから』って、
よしか? よく考えて物を言えとか、
先も考えてから行動に移せ…ってのもよく言われんだよな。
一体どっちなんだよなぁ。」
この彼にしてはなかなかうがったことを言い、
理不尽極まりないぞと 不満げに、
ふわふかな頬のみならず、小鼻まで、
ふんと真ん丸に膨らませた誰かさん。
「〜〜〜。」
「…なんだよっ。」
「いや…。」
何へか“可愛いもんだ”というお顔になってしまったのを、
何をへらへら笑ってんだよという方向で見とがめられてしまい、
慌てて口ごもったもう一人の誰かさん。
わざとらしく咳払いなぞして見せてから、
「でもなぁ、珍しいことをすると雨になるとも言うからよ。」
そんな言いようを返してやる。
途端に、
「う〜〜〜。///////」
思い当たる節の一つや二つほどもあったものか、
反駁出来ずに唸ってしまった親分だったので。
そうまで嘘のつけないところが可愛らしいと、
殊更に愛でるように目許をたわめたお坊様、
「だからよ、
あれ、どうしたんだろ親分さんたらなんて、皆が眸ぇ剥くようなこたぁ、
やっぱ避けた方がいんじゃね?」
思い切りがよすぎて大怪我されんのだけは困りもんだから、
コトによっちゃあ慎重になってほしいというのを例外に。
彼の“らしさ”である、枠に嵌まらぬ行動力や突拍子のなさは、
いつまでも褪せさせないでほしいかなと。
ある意味 勝手なそんなこと、それでも思ってしまうのが、
周囲の皆様にも共通の、
親分さんへの“こうあってほしい”要望なんじゃあなかろうと。
「〜〜〜〜。/////////」
そんな甘やかなこと言って、
ご城下随一の捕物名人を真っ赤っ赤にさせちゃった、
そういう意味でも破戒坊主かもな 困ったお坊様と。
悪党相手なら頼もしいのに、
何でだろうか、子供と このお坊様相手だと、
あっと言う間に足元掬われてる、
そんな困った岡っ引きの親分の、
なかなかに焦れったいお話を、
ちょこっと書いてる筆者だったり致します。
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*すいません、何か背中が痛かったりして、
書き始めるところに至るまで、なかなか話がまとまりませなんだ。
本題はここからなんですが、
とりあえずはここまでをアップです。
続きもすぐ書きますね?

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